5月6日(土)の日本経済新聞1面トップに「「デジタル遺言」制度創設へ ネットで作成/押印・署名不要 改ざん防止、相続円滑に」という記事が掲載されました。記事では、2024年3月を目標に新制度の方向性を提言とされており、早ければ2025年度には「デジタル遺言」が始まる見通しです。
自筆証書遺言は、民法上、書面・自書(署名を含む)・押印が求められており、デジタル技術を活用して作成することができません。一方、デジタル社会の実現に向けた構造改革が進められる中、自筆証書遺言についてもデジタル原則を踏まえた見直しを検討すべきとの動きがあります。デジタル技術の活用等によって自筆証書遺言と同程度の信頼性を確保することができるのであれば、遺言者の選択肢を増やす観点から、新たな方式を設けることはあり得るとして、法務省において検討されてきました。
こうして、「デジタル化規制改革実施計画」(令和4年6月7日閣議決定)の1項目として「自筆証書遺言制度」が閣議決定されました。
(以下引用)
a 法務省は、国民がデジタル技術を活用して、現行の自筆証書遺言と同程度の信頼性が確保される遺言を簡便に作成できるような新たな方式を設けることについて、必要な検討を行う。その際には、遺言が、遺言者が生前にした意思表示により、その死後に効力を生じさせるという法律行為であり、国民生活上極めて重要な意義を有する相続制度を支える法制度であることを踏まえた上で、デジタル技術やそれを活用した遺言関連の民間サービスに知見のある者の協力を得る等して、国民の利便性を考慮しつつ、デジタル原則にのっとった制度設計に向けた検討を行うものとする。
b 法務省は、自筆証書遺言書保管制度について、遺言書情報証明書等の申請手続等のオンライン化及び証明書のデジタル化などデジタル完結に向けて、費用対効果や国民からのニーズ等を踏まえて検討し、一定の結論を得る。
c a の検討を踏まえ、デジタル完結を前提とした法務局における遺言を保管するための仕組みについて検討を行う。
d 法務省は、a の検討に加え、現行の自筆証書遺言に関し、我が国社会において押印の見直しが急速に進展している状況も踏まえて押印の必要性を検証するとともに、自書を要求する範囲も含め、自筆証書遺言の信頼性を確保しつつ、それを国民が作成しやすくする観点から必要な検討を行う。
自筆証書遺言については、令和2年7月より、法務局における自筆証書遺言書保管制度が始まりました。加えて、今回の「デジタル遺言」が導入されれば、現在、10人に1人程度の普及率と言われている遺言の利用状況が、今後どの程度上昇するのかが注目されます。遺言の普及により、「争続(そうぞく)」が少しでも減ってくれればよいと願っています。
