日本全国で相続税の課税人数(相続税がかかる人の人数)は、年間約12万人(2020年)です。被相続人(死亡者)が年間約137万人なので、「課税割合」(=課税人数/死亡者数)は8.7%、100人に8〜9人となっています。その上で、相続税がかかる前提で、税金対策として、相続財産を減らすために、生前に財産を贈与しておく方法が考えられます。また、税金対策というよりも、相続を待たずに親からの資金援助が必要な場面もあるでしょう。
まず、相続税と贈与税の税率を比較してみます。例えば3,000万円の財産を譲り受ける場合、相続税の税率は15%、贈与税の税率は50%と、贈与税の方が税率が高く設定されています。相続は仕方なくお金が移るのに対し、贈与はやりたい人がやるから、というイメージです。単純に、何も考えずに財産を贈与してしまうと、相続の場合よりも損をしてしまうことになります。
一方で、贈与税には「基礎控除」といって、税額が免除される額が決まっていて、年間110万円です。つまり、一度に3,000万円を贈与するのではなく、毎年110万円ずつ贈与していけば、税金がかからない仕組みです。ただし死亡前3年以内の贈与については、財産の前渡しとみなされ、贈与税ではなく、相続税がかかってくるので、歳をとってから分割して贈与する場合は注意が必要です。
そのほか、贈与税には以下のような特例制度があります。上手に使えば節税となるので、相続税対策として贈与をお考えの方は確認してみて下さい。
①贈与税の配偶者控除・・・婚姻期間が20年以上の配偶者から居住用不動産(または取得するための金銭)の贈与があった場合、基礎控除とは別に、2,000万円までは贈与税がかからない。
②相続時精算課税制度・・・親世代が持っている財産を早めに子世代に移転できるように、2,500万円までの贈与財産は非課税、それを超える額は一律20%で贈与税を計算。相続時に相続税を計算する。贈与だけれども、お得な相続の仕組みに入れようという選択。この制度は、満60歳以上の父母または祖父母から、満18歳以上の推定相続にである子または孫への贈与が対象。
③住宅取得等資金の贈与の非課税制度・・・18歳以上の人が父母または祖父母から一定の住宅を取得するための資金を取得した場合、一定額(省エネ等住宅は1,000万円、それ以外の住宅は500万円)までは贈与税がかからない。床面積の適用条件(40㎡以上240㎡以下)がある。
④教育資金の一括贈与による贈与税の非課税措置・・・父母または祖父母から30歳未満の子や孫へ、教育資金に充てるために金銭を贈与した場合、一定額(受贈者1人につき1,500万円、うち学校等以外への支払いは500万円が限度)までは贈与税がかからない。
⑤結婚、子育て資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置・・・18歳以上50歳未満の人が、父母または祖父母から、結婚に際して支出する費用のうち一定のもの、妊娠・出産・不妊治療、子の保育料などのうち一定のものを対象に、金銭等を贈与した場合、一定額(受贈者1人につき1,000万円、うち結婚費用は300万円)までは贈与税がかからない。
(注)個別具体的な税務相談や税務書類の作成は、税理士資格が必要であり、上記はあくまで一般的な説明となります。
